アシスタントとしてヘアサロンで働き、スタイリストになるまでに平均で3年かかります。ところが5年経ってもまだアシスタントというケースもあり、いつまでも給料が増えずに低賃金で、生活が苦しいという人もいますよね。
このまま先の見えない状態が続くなら、訪問美容師になろうかなという考えが頭をよぎったことがあるかもしれません。そこでここでは、アシスタントが訪問美容の仕事に就けるのか、訪問美容のためにはどのようなスキルや知識が必要なのかについて解説していきます。
アシスタントからでも訪問美容師になれる?
アシスタント経験しかない人でも訪問美容師を名乗ることは可能です。ただし、前提となるのが美容師免許を取得しているということ。美容師免許がないことには訪問美容の仕事に就けませんので、その点だけ注意してください。
さらに訪問美容師になれることと、ビジネスとして続けていけるかどうかは別問題です。スタイリストとしての経験がないということは、カッティングのスキルがまだ不十分だとサロンで判断されたからですよね。そのスキルでお客さんを満足させるのは難しく、固定客の確保ができません。
しかも訪問美容師のお客さんの多くは介護が必要な高齢者で、介護に関する基本的な知識やスキルも求められます。
カッティングができれば、介護の知識を学びつつ訪問美容を行うことも可能ですが、アシスタント経験しかないのでは、身につけなくてはいけないことが多く、おそらく安定して稼げるようになる前に断念することになります。
注意点
- 美容師免許があれば誰でも訪問美容師を名乗れる
- スタイリストとしての実績がないと満足させられない
- 介護の知識やスキルがないと訪問美容師は難しい
訪問美容師になることそのものは簡単ですが、おそらくほとんどの人はサロンでアシスタントをしているほうが稼げます。では先の見えないアシスタントのままでいなくてはいけないのかというと、必ずしもそうではありません。
アシスタントから訪問美容の仕事に就くための流れというものがありますので、その方法や訪問美容師に求められるスキル、知識についてご紹介していきます。
訪問美容に求められるもの
訪問美容師にはスタイリストとしての実績だけでなく、介護の知識やスキルが必要だとお伝えしましたが、具体的に訪問美容で何が求められるのかについて、もう少し深掘りして解説していきます。
スタイリストとして求められるスキル
訪問美容の仕事に就くために、最低限必要なスキルはカッティング技術です。訪問美容師の仕事の半分以上はカッティングですから、カッティング技術がないことには独立開業も訪問美容の会社に就職することもできません。
スキル
- シャンプー
- カッティング
- カラー
- パーマ
- ヘアセット
訪問美容師になるには、これらすべてを1人でできるのが理想。ただ、アシスタントを長年経験してきたなら、カッティング以外はすでにできるようになっているかと思います。ですので、アシスタントから訪問美容の仕事に就くためには、カッティングの実績を積む必要があります。
介護者として求められるスキル
すでにお伝えしましたように、訪問美容のお客さんの多くが高齢者で介護が必要な人も多数います。このため最低限の介護知識が求められます。
資格が必須というわけではありませんが、「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」を取得することで信頼度が大きく上がり、訪問美容の仕事に就きやすくなります。
なぜそのような知識が必要なのかといいますと、たとえば個人宅を訪問したときに、お客さんが要介護で自分の力では起き上がれないとします。
介護の知識を持っていない人がムリに起き上がらそうとすると、バランスを崩してケガさせてしまうかもしれません。
介護の専門家になる必要はありませんが、知識があるのとないのとでは訪問美容師としてできることの幅がまったく違ってきます。アシスタントから訪問美容の仕事に就きたいなら、カッティングのスキルだけでなく、介護のスキルも身につけておきましょう。
アシスタントから訪問美容師になる方法
ここまでの説明で、ヘアサロンのアシスタント経験しかない状態から訪問美容師になるために、どのようなスキルや知識が必要になるか把握できたかと思います。そこで次に、アシスタントから訪問美容師になるための具体的な方法を見ていきましょう。
アシスタントから訪問美容師になるには、まずスタイリストを目指す必要があります。そこで、アシスタントからスタイリストになる方法と、スタイリストから訪問美容師になる方法、それぞれについて解説していきます。
アシスタントからスタイリストになる方法
いまアシスタントをしている人が訪問美容の仕事に就くためには、とにかくカッティング技術を覚えなくてはいけません。そのための方法は3つあります。
3つの方法
- サロンで働きながらスタイリストを目指す
- サロンで働きながらカットスクールに通う
- サロンを辞めてカットスクールに通う
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
1.サロンで働きながらスタイリストを目指す
現在アシスタントをしているサロンの環境がそれほど悪くないなら、そのままスタイリストを目指すのが1番です。他の方法と違って働きながら学べるので、スクールに通うためのお金もかかりません。ただし、スタイリストになるためには時間がかかります。
今のサロンでチャンスが与えられない場合には、他のサロンに変えるという方法もあります。スクールに通うお金がないなら、それも選択肢に入れましょう。
2.サロンで働きながらカットスクールに通う
おすすめなのは、アシスタントをしているサロンで働きながら、カットスクールに通うことです。カットスクールなら短期集中でカッティング技術が身につきます。ポイントは訪問美容コースのあるカットスクールを選ぶこと。
訪問美容コースなら介護についても同時に学ぶことになり、卒業してすぐに訪問美容師として働けます。ただし働きながら学ぶことになるため、体力的にかなり大変な方法になります。
2.サロンを辞めてカットスクールに通う
カッティング以外のスキルはすでに取得しているなら、サロンを辞めてカットスクールに入るという選択肢もあります。カットスクールの費用はサロンで働きながら貯めておき、生活費はアルバイトで稼ぐことで、カットスクールに集中できるようになります。
アシスタントとしての仕事で毎日クタクタになり、とてもスクールに通う余裕がないという人には、この方法がおすすめです。
スタイリストから訪問美容師になる方法
カッティングスキルを身につけたら、次は介護の知識です。カットスクールの訪問美容コースに通っていたならこのステップは不要ですが、それ以外のコースを選んだり、サロンで働いたりしながらスタイリストを目指した場合には、次のいずれかの方法で介護のスキルを身につけましょう。
介護スキル
- 訪問美容専門学校に入学する
- 訪問美容関連の会社に就職する
- スクールに通って介護職員初任者研修資格を取得する
こちらも、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
1.訪問美容専門学校に入学する
訪問美容はサロンと違った環境で施術することになりますので、訪問美容に適したカット方法などを学んでおくのが理想。そのために訪問美容専門学校に入学するのが、訪問美容師への最短ルートです。
訪問美容ならではのカッティング技術だけでなく、介護の知識やスキルが身につくので、卒業してすぐに訪問美容師として働けます。
2.訪問美容関連の会社に就職する
訪問美容専門学校に入学するための金銭的な余裕がない場合には、訪問美容関連の会社に就職しましょう。この方法なら働きながら技術が身につくだけでなく、介護の現場で学べるといったメリットもあります。
ただし会社ごとに教育体制に差がありますので、複数社の面接を受けて、学べる環境がある会社を選びましょう。
3.スクールに通って介護職員初任者研修資格を取得する
すでにスタイリストになっているわけですから、あとは介護の知識やスキルが身についていることを証明するために、介護職員初任者研修資格を取得するという方法もあります。
そのためには介護職員初任者研修コースのある介護スクールに通って、130時間のカリキュラムを受講する必要があります。
最短1ヶ月で取得できますので、すぐにでも訪問美容の仕事に就きたい人におすすめです。
訪問美容は開業と就職どちらがいい?
スタイリストにもなり、介護の知識やスキルを身につけたら、いよいよ訪問美容の仕事がスタートです。このとき訪問美容の働き方として2通りの選択肢があります。
2つの選択肢
- 開業して個人事業主として訪問美容を始める
- 訪問美容会社に入社して働く
どちらがいいのか迷うかと思いますので、それぞれのメリットや向いている人について解説していきます。
開業して個人事業主として訪問美容を始めるメリット
メリット
- 自分でスケジュールを組める
- 働き方次第で高収入を期待できる
- 人間関係のストレスが少ない
開業して個人事業主として訪問美容師になる場合、自分でスケジュールを組めるため、比較的自由に休みを入れられるようになります。さらに売り上げはすべて自分のものになるため、サロンでアシスタントをしているときの倍近い給料も期待できます。
個人で働くわけですから、上司や先輩、同僚との人間関係でストレスを感じることもありません。ただし、給料が保証されているわけではありませんので、安定して稼げるようになるまで時間がかかります。
開業が向いているタイプ
こんな人
- 1年程度稼げなくても問題ない
- スタイリストとしてのスキルが高い
- コミュニケーション能力が高い
訪問美容で安定して稼げるようになるまで、1年以上かかることもありますので、金銭的に余裕があるか、訪問美容以外の収入源を期待できる人でないと続けられません。また、スタイリストとしてのスキルはもちろんのこと、リピーターになってもらうために、お客さんとのコミュニケーション能力も求められます。
訪問美容会社に入社して働くメリット
メリット
- 安定して訪問美容の仕事がある
- 数をこなすスキルが身につく
訪問美容会社は介護施設などと提携しており、安定して仕事があります。会社によっては月給制ですので、生活が安定するといったメリットもあります。ただし給料はかなり安く、アシスタント時代よりも少し高い程度にしかなりません。
それでも開業したときのように仕事がないという心配もなく、営業活動する必要もありません。さららに施設での施術は1日に10〜20人のカットをすることもあり、素早くカットする技術が身につきます。
訪問美容会社への入社が向いているタイプ
こんな人
- 安定収入が欲しい
- いずれ独立を考えている
訪問美容会社に入社が向いているのは、安定収入を得たいという人です。給料は安いものの確実に収入が保証されていて、しかも休みもあります。また、いずれ独立するつもりだけど、未経験者で開業するのは不安で、まずは現場を知りたいという人にも向いています。
まとめ
美容師免許があれば、誰でも訪問美容師になることはできますが、カッティングの技術と介護の知識やスキルがないと、仕事を依頼してくれる人もいません。訪問美容の会社に就職することも難しいので、まずは最低限必要なスキルを身につける必要があります。
おすすめは訪問美容コースのあるスクールに入学すること。アシスタントの仕事に余裕があるなら、働きながらスクールに通いましょう。仕事で毎日ヘトヘトになってしまうなら、サロンを辞めてスクールに集中するといった選択肢も検討しましょう。
十分なスキルがついて、資金も潤沢にあるなら高収入を期待できる個人事業主として訪問美容師になるのがおすすめです。ただし1年近く稼げない可能性もありますので、生活費に不安があるなら、安定収入を期待できる訪問美容関連の会社に入社しましょう。