訪問美容を依頼するときに、気になることのひとつが「シャンプーまでやってもらえるのか」ということですよね。自宅ですからヘアサロンのようなシャンプー台もありませんし、だからといって洗面所もそれほど広くなくてシャンプーには使えない。
そういう環境でもシャンプーまでできるのか、知りたいという人もいるかと思います。そこでここでは、訪問美容でのシャンプーを依頼できるのかについて説明し、さらに自宅でシャンプーしてもらうときの注意点についても解説していきます。
シャンプー可能?訪問美容師によって違う
訪問美容でシャンプーを依頼できるかどうかについて説明する前に、まずは訪問美容の分類について簡単に説明しておきます。訪問美容は大きく分けて3つに分類できます。
3つのタイプ
- 介護専門の訪問美容
- ヘアサロンの訪問美容
- 個人の訪問美容
介護専門の訪問美容は要介護者を対象としており、個人宅だけでなく介護施設などでもヘアカットを行っています。介護に対する知識を持った訪問美容師が複数名所属しており、訪問美容をするための設備も充実。シャンプーも依頼できます。
ヘアサロンの訪問美容は、小さなお子さんがいたり妊娠中だったりするなどの理由で、ヘアサロンに通えない人の個人宅でヘアカットしてくれます。こちらもヘアサロンと同等の設備が揃っているためシャンプー可能。
問題は個人の訪問美容師で、資金がある人なら移動式シャンプー台を購入しているためシャンプーしてもらえます。ところが、手軽にはじめられる副業として訪問美容を始めた人は、「カット専門」としてシャンプーに対応していないケースもあります。
このため、シャンプーを必須としたいなら、介護専門の訪問美容かヘアサロンの訪問美容がおすすめで、個人に依頼する場合には対応可能かどうか事前に確認する必要があります。
ヘアカットでシャンプーが必要な理由
シャンプーなしの訪問美容師もいるなら、そもそもヘアカットでシャンプーは必要なの?と疑問に感じる人もいるかもしれません。少しでも安くなるなら、シャンプーなしの訪問美容師に依頼してもいいかなと考えている人もいますよね。
そこで、ここではヘアカットでシャンプーがなぜ必要なのかについて説明します。
理由1.ヘアカットしやすくなる
ヘアカットする前の髪には寝癖がついていたり、整髪料やホコリなどの汚れも付着していたりするため、ベテランの美容師でもそのままカットするのは難しく、思うような仕上がりになりません。霧吹きなどで濡らすだけでも効果はありますが、水分が少ないので髪がナチュラルな状態にまでは戻りません。
ただ髪を短くできればいいというだけならシャンプーなしでもいいのですが、高いお金を払うのだから、満足度の高い仕上がりにしたいというのであれば、カットしやすい状態に整えるためにシャンプーは必須です。
理由2.リラックスできる
ヘアサロンでシャンプーしてもらったとき、自分でシャンプーするのとはまったく違った気持ちよさがありますよね。担当者によってはシャンプーだけお願いしたくなるほど上手で、まるでマッサージを受けたかのようにリラックスできます。
訪問美容を利用する人は自宅を出られないストレスなどを抱えていることが多く、シャンプーしてもらうことでリラックスでき、ストレス解消になります。要介護の高齢者ですと人に触れてもらうことが刺激になります。
このようにヘアカットだけでなくプラスアルファの効果が期待でき、シャンプーすることで訪問美容の満足度が高まります。
理由3.小さな毛を洗い流せる
最近はカット後にシャンプーしないヘアサロンも増えていますが、ヘアカットをした後には小さな毛が髪に付いてしまい、そのままベッドなどに寝転がると枕やシーツに毛が移ります。枕などに移った毛はダニの餌になり、とても不衛生な状態になってしまいます。
カット後にシャンプーしておけば、小さな毛を洗い流せるので、ベッド周りが不衛生になるというのを防げます。要介護者や体の自由がきかない人で、ヘアカットしてすぐにベッドへ戻る場合には、カット後のシャンプーもお願いしましょう。
訪問美容でシャンプーするデメリット
ここまでの説明でヘアカットとあわせてシャンプーしてもらう理由を理解してもらえたかと思いますが、シャンプーしてもらう場合には下記のようなデメリットもあります。
デメリット
- 料金が2,000円程度高くなる
- 広い作業スペースが必要になる
- 長時間の施術になり体に負担がかかる
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
料金が2,000円程度高くなる
ヘアサロンの場合にはシャンプーの有無で料金が変わらなかったり、500円程度でシャンプーありにできたりしますが、訪問美容の場合には「カットのみ」と「カット&シャンプー」では料金が2,000円程度変わってきます。
訪問美容でシャンプーするには、移動式シャンプー台を使う必要があり、購入費や維持費などがシャンプー料金にプラスされます。このためヘアサロンでシャンプーするときと比べて、どうしても割高になります。
年金生活で収入が少ない人にしてみれば、追加の2,000円は決して安い料金ではありませんよね。ヘアカットの仕上がりにこだわらず、リラックス効果も不要というのであれば、シャンプーなしにするというのもありです。
広い作業スペースが必要になる
訪問美容でヘアカットする場合には、2畳程度のスペースが必要になります。シャンプーなしならもう少し狭いスペースでも対応してもらえますが、シャンプーするとなると2畳分は確実に確保する必要があります。
それも清潔な環境が保たれていなくてはいけません。たとえば十分なスペースがキッチンにしかないという場合には、衛生面で問題があるという理由で訪問美容を断られる可能性もあります。
自宅で広いスペースを確保できるなら問題ありませんが、衛生的な2畳分のスペースなんてどこにもないという人もいるかと思います。そうなるとスペース確保のために、家具の移動が必要になります。シャンプーありにすることで、このような手間がかかるといったデメリットもあります。
長時間の施術になり体に負担がかかる
シャンプーすると髪の毛を乾かさなくてはいけませんので、それだけヘアカットの時間が長くなります。要介護者や妊娠中の方など同じ姿勢を維持するのが難しいという人は、それだけ体への負担が大きくなり、シャンプーでリラックスどころか体調を崩してしまう可能性もあります。
ヘアカットだけでも40〜50分程度の時間がかかりますので、その時間同じ姿勢を維持するのが難しそうな場合には、シャンプーなしで依頼しましょう。ヘアカット前後のシャンプーは自分でするか家族にしてもらい、ヘアカットは短時間で終わるようにお願いしてください。
シャンプーまで任せたい場合には、予約時にそのことを伝えておいてください。追加料金が発生する可能性もありますが、休憩を入れながらヘアカットしてもらうことで、体への負担を最小限に抑えられます。
訪問美容でシャンプーを依頼する時のポイント
訪問美容でのシャンプーはデメリットもありますが、料金もヘアカットスペースにも問題なく、長時間の施術にも耐えられるなら、やはりシャンプーもしてもらいたいところ。ただし、訪問美容ならではの気をつけなくてはいけない点があります。
どのようなポイントに気をつけてシャンプーを依頼すればいいのか、詳しく見ていきましょう。
家族か友人に控えておいてもらう
要介護者や妊娠中の方、骨折などで自宅療養中という方が1人だけですと、ヘアカットするための椅子に移動するのが困難です。移動できたとしてもなんらかのトラブルが発生したときに、すべて美容師に委ねなくてはいけなくなります。
シャンプーするときには顔を仰向けの状態にするため、バランスを崩しやすく椅子から転げ落ちる可能性もあります。そういうときに美容師に迷惑をかけないためにも、できるだけ家族か友人に控えておいてもらいましょう。
どうしても1人でヘアカットしてもらうしかない場合には、事前にそのことを伝えておき、必要に応じてサポートスタッフを付けてもらいましょう。
どのような方法でシャンプーするか確認しておく
訪問美容のシャンプー方法は事業者や美容師ごとに違います。移動式シャンプー台を用意しているケースもあれば、お風呂場や洗面台でシャンプーすることもあります。洗面台周りに十分なスペースがないのに、訪問されてから「洗面台シャンプーします」となってもお互い困ります。
シャンプーありで依頼するときには、どのような方法でシャンプーするのかを確認しておきましょう。そのときに、家族の介助が必要かどうかもあわせて聞いておいてください。
また過去にシャンプーで肌荒れなどが発生したことのある人は、事前にどのようなシャンプーが合わなかったのかを伝えておきましょう。すでに頭皮が荒れているという場合には、それも伝えておき、シャンプーするかどうかの判断を美容師にしてもらいましょう。
すぐにお湯を提供できるようにしておく
シャンプーをする場合にはお湯を使います。事前にどれくらいのお湯を用意すればいいか連絡があるかと思いますが、連絡がなくてもいつでもお湯を出せるようにしておきましょう。髪の量にもよりますが、1回のシャンプーで2〜5Lくらい使用します。
給湯器からすぐにお湯を出せるのであれば問題ありませんが、自宅の設備が古くてバランス釜の給湯器しかないというような場合には、美容師の方がお湯の出し方がわからずに困ることがあります。あらかじめ点火しておき、いつでもお湯を出せる状態にしておきましょう。
まとめ
訪問美容でもヘアサロンと同じように、シャンプーしてからヘアカットしてもらえますが、個人の訪問美容師の中にはカット専門でシャンプーをお願いできない人もいます。シャンプーしてもらいたい場合には、事前にシャンプーに対応しているか確認しましょう。
反対にシャンプーなしで依頼することもできますが、シャンプーなしでヘアカットすると仕上がりが悪くなりやすく、カット後に小さな毛がベッド周りに移ってしまい不衛生です。美容師にシャンプーを依頼しない場合も、必ず自分でヘアカット前後にシャンプーしておきましょう。
- 家族や友人にサポートを依頼する
- シャンプー方法を事前に確認する
- お湯を出せるようにしておく
実際にシャンプーしてもらうときには、当日になって慌てることのないように、この3つの備えをしておくことも忘れないでください。