訪問美容は健常者でも利用できる?認められる範囲と利用時の注意点を解説

自宅などでヘアカットやカラー、パーマまでやってもらえる訪問美容ですが、インターネットで検索すると要介護の高齢者を対象としたサービスばかり。それって健常者の自分でも利用してもいいの?と疑問に感じている人もいるかと思います。

仕事や家事で忙しく、ヘアサロンに行く時間もない人にとっては、訪問美容でカットしてもらえればとても楽ですよね。そこでここでは、健常者が訪問美容を利用してもいいのかについて詳しく解説していきます。自宅で髪を切ってもらいたいという人は、ぜひ参考にしてください。

訪問美容は原則として健常者は利用できない

健常者をどう定義するかにもよりますが、慢性的な疾患などがなく、普通に日常生活を送れている人はヘアサロンや理容室さん以外でのヘアカットは、理容師法と美容師法によって禁止されています。このため健常者は訪問美容サービスを利用できません。

美容や理容の行為は利用者の髪の毛や皮膚に触れる仕事ですので、衛生管理を徹底して行う必要があり、このような法律が定められています。

私たちは何気なく使っているヘアサロンや理容室は、感染症が広まらないための対策が施されており、安全にヘアカットができる環境にあります。ところが自宅の場合には、ヘアカットすることを想定して建てられていないため、安全とは言い切れず法律でNGとなっています。

ちなみに美容師免許や理容師免許がないとヘアカットしてはいけないという法律も、正しい知識を持った人でないと、衛生管理ができないという考え方がベースにあります。

理容師法が施行されたのは1947年のことですので、その当時と比べると一般家庭もずいぶんと衛生的になっているので、納得できないという人もいるかもしれません。ただ、現状としては法律で定められていることので、健常者はヘアサロンや理容室を利用して髪を切ってもらいましょう。

要介護なら訪問美容はOK

ヘアカットはヘアサロンや理容室でしてもらうのが原則とはいえ、要介護の高齢者は自分でヘアサロンなどに通うのは難しいですよね。だからといって、髪を切ってはいけないというのでは何かと困ります。髪が伸びっぱなしでは介護するのも大変です。

そこで、ヘアサロンなどに通えない要介護者などは、訪問美容が認められています。この場合は自宅や介護施設などに美容師や理容師が訪問し、適切な環境を整えたうえで施術します。当然、訪問先の環境が劣悪だと判断されたら断られることもあります。

要介護者と合わせて介護する人がヘアカットするのはOK

要介護者であれば訪問美容を利用できるとお伝えしましたが、要介護者だと自分で予約するのは難しいのでは?と疑問に感じるかもしれません。もちろん、要介護者のヘアカットのために健常者が申し込みをするのはまったく問題ありません。

また介護する立場の人も、家を離れられず、ヘアサロンなどに行けない状態であれば、訪問美容は利用可能です。要介護者と合わせてカットすれば、それぞれのカット料金が安くなりますので、できれば同じタイミングでヘアカットしてもらいましょう。

このように、条件によっては健常者でも訪問美容してもらうことは可能です。介護で家を離れられない以外にも利用できるケースがありますので、どのような条件なら認められるのか、次章で詳しくご紹介していきます。

健常者が訪問美容を利用できる条件

介護で家を離れられないなら、訪問美容でヘアカットしてもらうことは可能とお伝えしましたが、他にも下記のケースで健常者もヘアカットを受けられます。

条件

  • 骨折などのケガでヘアサロンに行けない
  • 妊娠や育児でヘアサロンに行けない
  • 結婚式や成人式前にヘアカットが必要

それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。

骨折などのケガでヘアサロンに行けない

なんらかの理由で骨折してしまい、自宅からヘアサロンまで移動するのが難しいのであれば、慢性的な疾患でなくても訪問美容を利用できます。骨折した箇所や移動への影響がどれほどあるかにもよりますが、医師から自宅療養の指示があればOKです。

同じく、骨折以外でも医師から自宅療養を指示されており、外出が困難だという人は訪問美容でヘアカットをしてもらえますので、該当する場合には活用しましょう。

妊娠や育児でヘアサロンに行けない

妊娠中で外出を避けたいという場合や、子どもが生まれたばかりでヘアサロンに行けないという場合も、訪問美容の対象になります。小さいお子さんを連れてヘアサロンに行くのは負担が大きく、周りに迷惑をかけないか不安という人は訪問美容を利用しましょう。

このときにお子さん髪も合わせてカットしてもらうのもOK。せっかくですから一緒のタイミングで整えてもらいましょう。

結婚式や成人式前にヘアカットが必要

結婚式や成人式といった儀式に出る場合には、自宅や儀式を行う施設への訪問美容が認められています。これは新郎新婦、成人になる人だけでなく、儀式に参列する人であればOKです。ただし、都道府県もしくは市区が許可している場合に限ります。

また、結婚式の写真を撮影するためだけに訪問美容を利用するのはNGです。あくまでも儀式が行われる場合のみですのでご注意ください。

健常者が訪問美容を利用するときの流れ

健常者も条件次第で訪問美容を利用できますが、ヘアサロンを予約するのとは依頼するまでの流れが違います。どのような流れて予約すればいいのかを見ていきましょう。

STEP.1
健常者の訪問美容に対応しているサービスを探す
STEP.2
利用できるかどうかの判断してもらう
STEP.3
料金を提示してもらい、問題なければ予約
STEP.4
予約した日に訪問してもらいヘアカット
STEP.5
支払い

基本的な流れはこのようになっています。まずは健常者の訪問美容に対応しているサービスを探すことからはじめる必要があり、なおかつ利用可能かどうかの判断を訪問美容サービスの担当者にしてもらわなくてはいけません。

サービスを受けられるとなったら金額を提示してもらい、同意したらあとは訪問美容でヘアカットしてもらうだけです。

利用できる条件を満たしていると自分で判断しても、明確な基準があるわけではないため、訪問美容サービスのほうでNGと判断されることもあります。その場合には、他の訪問美容サービスにお問い合わせください。

訪問美容を利用するときのポイント

訪問美容をこれまで利用したことがない人だと、訪問美容サービスの選び方や、利用するうえでの注意点などわからないことが多いかと思います。ここではそんな人のために、スムーズに利用するためのポイントをご紹介していきます。

ヘアサロンの訪問美容(出張サービス)に依頼する

健常者が訪問美容をお願いするときには、介護者専門の訪問美容サービスではなく、ヘアサロンが行っている訪問美容(出張サービス)を利用しましょう。すべてのヘアサロンが対応しているわけではありませんので、まずはいつも通っているヘアサロンに相談してみましょう。

個人経営のヘアサロンであれば、訪問美容サービスを行っていなくても対応してくれることもあります。出張料金がかかるため割高にはなりますが、いつものクオリティを期待できるので、満足度の高い仕上がりになります。

ちなみに要介護者と一緒にヘアカットしてもらう場合には、要介護者向けの訪問美容サービスを利用しても構いません。ただし、介護する人への施術に対応しているかどうかは事業者ごとに違いますので、事前に確認しておきましょう。

事前に作業スペースを確保しておこう

訪問美容でヘアカットしてもらうときには、床にシートを敷き、椅子やシャンプー台をセッティングするためのスペースが必要になります。2畳分くらいのスペースを使いますので、事前に作業スペースを確保しておきましょう。

ドライヤーなどでコンセントを使いますので、作業スペース近くにコンセントがあると便利です。もし難しいようであれば、延長ケーブルを用意しておきましょう。

美容師を家にあげるわけですから、部屋の掃除もしておきたいところです。思ったよりもヘアカットまでにやらなくてはいけないことがあります。直前にやろうと思うとドタバタしてしまいますので、訪問美容の予約をしたら、少しずつ部屋を片付けはじめましょう。

訪問美容直後に予定を入れないこと

ヘアサロンと違って、訪問美容は準備にも後片付けに時間がかかります。訪問美容の直後に予定を入れてしまうと、その時間に遅れてしまう可能性があります。予約するときに、どれくらい時間がかかるかを確認しておき、プラス1時間くらい見込んでスケジュールを組んでください。

また、予定がある場合には事前に美容師に伝えておきましょう。スケジュールを伝えておくことで、多少の時間調整はしてもらえます。特に結婚式や成人式などで依頼するときには、開始時間をきちんと伝えて、それに間に合う時間にスタートしてもらいましょう。

健常者が訪問美容を利用したらどうなる?

健常者は法律で定められた条件を満たした場合のみ、訪問美容を利用できるとお伝えしましたが、もし条件を満たさない健常者が訪問美容を使ってヘアカットをしたらどうなるのでしょう?罰則などはあるのでしょうか。

このケースでは美容師法(理容師法)違反となり、訪問美容をした人(美容師)が罰せられます。いきなり逮捕されるというようなことはありませんが、繰り返し施術していると、業務停止命令や美容師免許を剥奪される可能性があります。

美容師の友人にお願いして「忙しいから家でカットしてくれる?」とお願いする人もいるようですが、友人を困らせてしまうだけです。条件を満たさないのであれば、友人の勤めているヘアサロンでカットしてもらいましょう。

まとめ

原則として健常者は訪問美容でのヘアカットはできませんが、ヘアサロンなどに通えない理由があるときや、結婚式などの儀式に出席する場合に限っては、訪問美容を利用できます。ただし、どの訪問美容サービスでも対応してもらえるわけではありません。

健常者として利用する場合には、要介護者向けの訪問美容サービスではなく、ヘアサロンが行っている訪問美容(出張サービス)を利用しましょう。

また、条件を満たさない健常者へのヘアカットは、美容師の方が罰せられます。バレなければいいだろうと思って、美容師の友人に訪問美容をお願いする人もいるようですが、迷惑をかけることになります。条件を満たさないなら、ヘアサロンでカットしてもらいましょう。